THE FIRST XYLOPHONE
1. Improvisation pire 8:05 試聴
pireは、歓迎の言葉とか祝福お話の意味で、木琴演奏の始まりに試びきも兼ねて奏される。
諸々の気持ちを自由にコギリでお喋りする。
2. Improvisation FUKUSHIMA 5:44 試聴
手持ちのザイロフォンが福島の方に売れた。
旅立つ前夜にザイロフォンがせつせつと予感を伝えてきた。
3. Improvisation Spring Water 5:17 試聴
コギリは水の原質の波をコントロールできると言われている。
湧水の清らかな喋りがすべてを癒してくれる。
CDライナーより
あるときカクラバ・ロビが生前に言っていたことだが、
「アフリカンザイロフォンは、金が有るのが金が無いのと同じだと解るほど難しい‥。」
と言って、人々を煙に巻いていた。
私もアフリカで木琴名人カクラバ師に入門儀礼を受けてから、はや10年が立ってしまった。
その間にカクラバ師は、いち早く煙のようにこの世を去ってしまった。
あの稀有な師であれば、それも最近では納得できる。
ガーナのコギリを、世界をまたにかけて紹介した実績は大きい。
しかし、それにも増して現代音楽や現代美術への多大な影響を残したことはあまり知られていない。
また、師のまなざしは音楽の世界だけにとどまらない。初代ガーナ大統領のクワメ・エンクルマの提唱したアフリカユナイト、南アフリカのアパルトヘイトのネルソン・マンデラ解放などのメッセージを、喋るように歌にのせてどこでも歌った。
もともとアフリカの木琴は、音楽に限定されたものとは限らないのである。意味の有る言葉の伝達に使われ、神様の儀式に使われ、結婚式や葬式に使われる。
私見になるが、言語の言葉以前の唸りや、アーアーいう赤ん坊のような声を演奏中に発する演奏家が多いのも、木琴がどこか喋りの根源と直に繋がっているからではないのかと思っている。
それは意味を持たないゆえに直に心をビートしてくるのだ。
気持ちが開かれた瞬間の人間の最も古い衝動かもしれない。
今回初めて出す私のアルバムだが、カクラバ師の見えない反面の音楽、「喋り」を受け継いだアルバムを作りたかった。
他国で意味のわからない訛りを聞くような、大らかな気分が味わえればという気持ちで録音したものだ。
チャンシー (2009.10.31)
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